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住宅ローンの借り方は?事前審査と本審査の違いや審査の流れを解説
新築の一戸建ては、安くても1,000万円以上する高額な買い物です。当然ながら、多くの場合、注文住宅をキャッシュで購入することはできないので、足りないお金は金融機関でローンを組んで貸してもらう必要があります。ただ、住宅ローンは借りる金額が大きい分、審査も厳しいですし、借り入れできるようになるまで時間もかかります。利用できるローンの額によっては、新居にかけられる予算も変わってくるので、前もって住宅ローンの借り方を知っておきましょう。 今回は、 ・住宅ローン審査の流れ ・事前審査と本審査の違い ・審査にかかる時間 ・必要書類の種類 など、住宅ローンの申し込み時に役立つ基礎知識を解説していきます。 住宅ローンの審査の大まかな流れ 住宅ローン審査の大まかな流れは、以下の通りです。 ・借り入れの金額と住宅ローンの申し込み先を決める ・事前審査の申し込み ・新居の売買契約 ・住宅ローン本審査の申し込み ・住宅ローンの金銭消費賃借契約を締結 ・新居の引き渡し日に融資実行 ご覧の通り、住宅ローンの手続きは「事前審査」と「本審査」の二段階方式になっています。住宅ローンを提供している金融機関は全国各地に存在しますが、どの住宅ローンも、事前審査に通った人しか本審査へ進むことができません。また、住宅ローン審査は、事前審査で約1週間、本審査に長くて3週間程度の時間がかかります。即日で結果がわかるわけではありませんし、場合によってはローン審査に落ちてしまう場合もあるので、入居予定日には余裕を持たせておくことが大切です。 事前審査と本審査は何が違うのか? 住宅ローンについて調べているときに、「どうして住宅ローン審査ではわざわざ二回も審査を行うのだろうか」と疑問に思った人もいるでしょう。事前審査と本審査の違いは、「住まいの資産価値をチェックするかどうか」です。詳しい内容はあとで説明しますが、住宅ローンの事前審査は、主に「本人の年収・返済能力でローンを完済できるかどうか」を確認します。 一方、本審査の場合、本人の年収などに加えて、「新築物件がいくらで売れるのか」も評価の対象です。ローンの担保として押さえている注文住宅を高く売却できれば、ローンの返済を滞納しても、家を売ってローンを整理できます。二段階の審査があるからこそ、自分の収入で返済できないローンを組もうとしたり、担保としての価値が低い物件を購入しようとしたりしている利用者が弾かれているわけです。 大まかな借入可能額がいくらになるかを知ろう 月々の給与から返済に回せる金額には限りがあります。そこで役立つのが、「返済負担率」という考え方です。返済負担率とは、「収入の内、何%を住宅ローンの返済にあてるのか」を数値化したもの。 たとえば、住宅ローンの中でも低金利で有名な「フラット35」の返済負担率基準は、以下のようになっています。 ・年収300万円未満:25% ・年収300~400万円未満:30% ・年収400~700万円未満:35% ・年収700万円~:40% 基本的に、上記の基準を越える額を申請しても、事前審査を突破できません。一般的には年収が高くなればなるほど使えるお金が増え、ローンの返済に回せる金額も大きくなりますが、家を買ったあとも何かとお金はかかるので、返済負担率が年収の30%を下回るように借入額を調整しましょう。また、「現在の家賃」と「月々のローン返済額」を合わせるという方法もあります。 住宅ローンの事前審査(仮審査)について解説 事前審査(仮審査)とは? 住宅ローンの事前審査は、住宅ローンの申請者の年収や返済能力から、「本当にローンを返済できるのか」を調べる手続きです。基本的には、年収やローンの有無、勤続年数に就職先といった情報をチェックされます。なお、一般的に高収入と呼ばれる職業の人間でも、必ず事前審査に通るとは限りません。返済負担率を計算した結果、現実的に考えて返済できないと判断されれば、年収が1,000万円あっても2,000万円あっても事前審査に落ちてしまいます。 事前審査(仮審査)の審査期間は? 事前審査の審査期間は、およそ1週間です。金融機関や申請者の属性等によっては数日で結果が分かる場合もあります。希望額が大きかったり、返済能力に何らかの問題があったりする場合は詳しく調査されるため、多少時間がかかる場合もあるでしょう。とはいえ、事前審査はあくまでも「本気でローンを組んで家を買う準備ができているかどうか」を確かめる手続きです。現実的に返済を進めていける計画を立てていれば、審査を突破できます。 事前審査(仮審査)で見られる内容は? 事前審査の審査項目は、 ・年収 ・勤務先 ・借入希望額 ・勤続年数 ・年齢(申し込み時点の年齢と完済時の年齢) ・本人の健康状態(持病の有無など) ・返済負担率 ・その他ローンの有無と額(マイカーローン、消費者金融など) ・過去の滞納歴・ローン等の返済実績 などです。基本的に、金融機関は住宅ローンの審査項目を詳しく公開していません。ただ、上記の項目に何らかの問題があったり、金融機関が独自に設けている基準をクリアできていなかったりすると、審査に落ちてしまいます。 上記の項目を言い換えると、 ・年収が高い ・大手企業の職員や公務員 ・勤続年数が長い ・年齢が若い ・返済負担率が低い ・カードローンやマイカーローン等がない(少ない) という人は、一般的に事前審査でも本審査でも有利です。 事前審査(仮審査)で準備しておく必要書類 住宅ローンの事前審査では、以下の書類が必要になります。 ・住宅ローンの借入申込書 ・本人確認書類(免許証・健康保険証・パスポートなど) ・収入がわかる書類(サラリーマン:前年度の源泉徴収票、個人事業主や経営者:3年分の確定申告書や決算書) ・他に借り入れをしている場合は残高証明書 ・連帯保証人の身分証明書 ・購入しようと考えている新居のチラシなど なお、事前審査を申し込む金融機関によって必要書類が変わる場合もあるので、手続きをするときは必ず金融機関の公式ホームページを確認しましょう。 事前審査(仮審査)で注意するポイント 以下のような人は、事前審査に通るのが難しいです。 ・非正規雇用や自営業者で収入が不安定 ・勤続年数が短い・転職して間もない ・年収が低い ・過去にクレジットカードやカードローン、携帯本体の料金を滞納したことがある ・自己破産や債務整理の経験者 ・大きな病気を患った経験があり入れる保険が少ない また、借入申込書に記入ミスがあったり、必要書類を準備できていなかったりすると、そのほかの部分に問題がなくても審査で落とされてしまいます。そのほか、クレジットカードやカードローンの申し込みと同じで、短期間に何度も住宅ローン審査に落ちると審査に通りづらくなる点にも注意が必要です。不動産会社と相談して万全の準備を整えましょう。 住宅の売買契約をする 住宅ローンの事前審査に通ったら、不動産会社と新居の売買契約を交わします。建売住宅の場合は、土地・建物の売買契約ですが、自分で土地を買ってそこに家を建ててもらう注文住宅を購入する場合、「土地の売買契約」と「建物の工事請負契約」の締結が必要です。新居の契約書は住宅ローンの本審査を受ける際必要になるため、作成時に写しを取っておきましょう。 住宅ローンの本審査 住宅ローンの本審査とは? 住宅ローンの本審査とは、住宅ローンの可否を決める最終審査のことです。事前審査で調査した本人の返済能力に加えて、担保物件の価値も審査対象に含まれます。なお、本審査は事前審査よりも審査が厳しいです。事前審査に通った人でも、手違いによって本審査に落ちてしまうこともあります。売買契約を結び、「ローンが通ったらこの家を購入します」という同意を不動産会社との間で交わしていても、本審査に落ちるとマイホームの購入計画が止まってしまうので、気をつけましょう。事前審査と同じく、本審査も落ちれば落ちるほど通りづらくなっていくので、必要最小限の申し込みで融資を受けられるように準備を整えることをおすすめします。 本審査の審査期間は? 住宅ローン本審査の審査期間は、2~3週間ほどです。一般的なローンに比べて借入額がはるかに大きいので、審査にもそれなりに時間がかかります。金融機関独自の調査だけでなく、クレジットカードや借り入れ等の利用・返済状況が記録されている「信用情報機関」への情報照会も行われるため、結果がわかるまで最短でも1週間は見ておきましょう。 本審査で見られる内容(基準・審査項目)は? 住宅ローンの本審査で見られる項目は、ほとんどが事前審査と同じです。ただし、 ・年収 ・勤務先 ・借入希望額 ・勤続年数 ・年齢(申し込み時点の年齢と完済時の年齢) ・本人の健康状態(持病の有無など) ・返済負担率 ・その他ローンの有無(マイカーローン、消費者金融など) ・過去の滞納歴 といった情報に加えて、「新築物件を担保として見たときの評価」も基準に加わります。 ・太陽光発電システムがある ・新居の立地が良く手放しやすい ・省エネ基準をクリアしている など、「中古物件として売り出したとき、高く・早く売れる可能性が高い一戸建て」だと審査で高く評価されるでしょう。 また、意外と重要なのが住宅ローン完済時の年齢です。多くの住宅ローンは、完済時の年齢に上限を設けています。住宅ローンは、「今後数十年働いて稼ぐ月々の収入」を使って返済するものなので、原則として70歳以上の人は申し込みができません。逆にいえば、若い内に長期のローンを組むと、その分、月々の返済額を圧縮できて有利です。 本審査で提出を求められる必要書類 住宅ローンの本審査では、事前審査で提出した書類に加えて、 ・住宅ローン本審査の申込書 ・団体信用生命保険の加入申込書 ・印鑑証明 ・住民票 ・納税状況がわかる書類(住民税決定通知書・課税証明書) ・売買契約書・重要事項証明書 ・登記簿謄本 ・新居の図面 ・建築確認済証 などの提出も求められます。 本審査に通ったあとは住宅ローン契約を締結する 本審査に通ったら、いよいよ正式な住宅ローン契約の締結です。ただし、住宅ローン契約を結ぶ場合は、 ・団体信用生命保険 ・火災保険 の加入手続きも進める必要があるので要注意。 団体信用生命保険とは、「契約者がローン返済中に亡くなった場合、ローンを完済できるだけのお金が下りる」という保険のことです。火災保険は、火災や台風といった各種災害によって被害を受けたときにお金が下りる住宅保険のことを指します。多くの金融機関で、団信と火災保険の加入は住宅ローン利用時の必須条件となっているため、2種類の保険に加入しないという選択はできません。 なお、本審査に通ったあとでも、住宅ローンの申し込みはキャンセル可能です。住宅ローン契約を結ぶまえに申し出た場合、キャンセル料もかかりません。ただし、住宅ローン契約を結んだ後に契約を解除する場合は、解約手数料を支払う必要があるため注意しましょう。 住宅ローンの融資実行 住宅ローンの融資実行日は、基本的に物件の引き渡し日です。家の代金を支払うときに住宅ローンを振り込んでもらい、そのお金で新居の費用を支払うことになります。融資の実行と新居の決済をするときは、法務局で不動産の登記を登録したり、金融機関の抵当権を設定したりする必要があるため、できれば司法書士に仕事を頼んで手続きをしてもらいましょう。 「住宅ローン控除」や「すまい給付金」の申請 家を購入すると、翌年度以降の所得税と住民税が安くなる「住宅ローン減税」や、最大50万円の補助金がもらえる「すまい給付金」を利用できます。ただし、住宅ローン減税やすまい給付金は、どちらも本人による申請手続きが必要です。特に、住宅ローン減税を受ける場合、普段申告を会社が代行してくれているサラリーマンも、自身で確定申告をする必要があります。売買契約書やローンの残高証明書等の準備も必要なので、住宅購入時に必要書類を揃えておきましょう。 まとめ 事前審査と本審査を突破すれば、住宅ローンを組んで新居を購入することができます。ただし、借入額が大きいので、ローンの審査は簡単では有りません。借入額の設定や書類の記入ミスには、十分以上には気をつけましょう。 なお、住宅ローンの利用者は、住宅ローン控除やすまい給付金といったお得な制度も利用できます。書類の準備や手続きの流れなど、家を買う人が押さえておくべきポイントは数多くあります。今回の記事で大まかな流れを理解したら、不動産会社と相談しながらローンの準備を進めましょう。
2022.12.05
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注文住宅と建売住宅の違いは?それぞれのメリット・デメリットまとめ
一戸建て住宅を購入する際、注文住宅と建売住宅のどちらを選択するかで悩む人が多いのではないでしょうか。 注文住宅と建売住宅にはそれぞれメリットとデメリットがあるので、何を重視するかによってどちらを選択するかが決まってきます。 それぞれの違いをしっかりと把握し、自分に合った住宅を選択しましょう。 注文住宅のメリット・デメリット 注文住宅とは住宅会社に依頼し、すでに所有している土地や新たに購入する土地に建築してもらう住宅のこと。つまり、土地と建物を別々に購入するイメージです。 自由度の高さが最大のメリット 注文住宅は施主の希望や予算に合わせて一から設計するため、暮らし方や好みに合わせて間取りや仕様を自由に決められます。 「子どもが多い」「ペットを飼っている」「親世代と同居したい」などのそれぞれのご家庭に合わせた設計は、注文住宅でないとできません。 設計が決まるまでは建築面積や建材が未定であるため、予算の総額が決まりません。 建売住宅に比べると高いというイメージを持たれがちですが、こだわりの部分とそうでない部分にメリハリをつけることで、ある程度、建築費を調整することは可能です。 土地と建売の両方を買うので、土地代につなぎ融資を使う必要があるなど手続きは煩雑になります。 また、「土地だけ先に買っておいて、子どもが小学校に入るタイミングで建てよう」など、建築時期が自由に選べるのは注文住宅ならではのメリットです。 注文住宅なら施行中に何度も足を運び、構造の段階から建築の様子を見学することができます。 自分の目で施工の様子を確かめられるので、欠陥工事が心配という方も安心できます。 何度も打ち合わせを重ね、自分のイメージが確かな形になっていくプロセスが楽しめます。 メリット ・間取りや仕様が自由に決められる ・間取りや仕様の調整で、ある程度費用の調節が可能 ・好みの住宅会社や建築事務所が選べる ・土地を買って家を建てるまでの期間が自由 デメリット ・費用の総額がわかりにくい ・希望をすべて盛り込むと予算をオーバーしがち ・住宅ローンの手続きが煩雑 ・打ち合わせ回数が増える ・仕上がりイメージがわかりにくい 建築条件付きの土地を選ぶときのメリット・デメリット 建築条件付き土地とは、一定期間内に特定の建築会社に家を建てる依頼をするという条件で売られている土地のことです。 住宅会社がある程度まとまった面積の土地を一括購入して整地し、分譲しているものなので、 周りに同じ住宅会社で建てた家がまとまって建つことになります。 建築条件付き土地だとある程度の制限がかかってくるため、通常の注文住宅とメリットやデメリットが変わってきます。 メリット ・間取りや仕様がある程度自由に決められる ・建築会社選びで悩まなくてすむ ・分譲地なので周囲に同じ時期に建つ家が多く環境が整備されていることが多い ・法規制などの影響で希望の家が建てられないというリスクがない デメリット ・注文住宅なのでこだわると価格がどこまでも高額になる ・家を建てるまでの期間が決まっている ・建築会社が決まっている ・完全自由設計よりは自由度が下がる ・建売住宅より住宅ローンの手続きが煩雑 建築条件のない土地の注文住宅は、依頼先の建築会社も間取りや仕様もまったくの自由。 その分、情報収集や打ち合わせにはある程度、時間がかかります。 建築条件付きの土地なら建築会社が決まっているので、その部分に悩む必要はありません。 いわば一般的な注文住宅と建売住宅の間にあるものと考えれば良いでしょう。 建売住宅のメリット・デメリット 建売住宅とは、土地と建物をセット価格で販売する形態です。 すでに建築済みの建物をイメージしがちですが、建築前の段階から売り出されるケースも多く、その場合は多少希望に合わせて仕様を変更できるケースもあります。 ただし、変更可能なものは決まった部分の建材のカラーなど、ほんの一部。 基本的に間取りも設備の仕様もデザインも、ほぼ選ぶことはできません。 予算計画を立てやすい建売住宅 建売住宅の最大のメリットは、土地と建物の合計額が事前に提示されているという点です。 予算内に収まるかどうか判断しやすく、売買契約や住宅ローンの申込手続きも一度で済むのでラクです。 ただし、自分の暮らし方や好みに合わせ、仕様やデザインを変更することは基本的にできず、できてもほんの一部です。 そのため、「もう少しここがこうだったらな」と思ってしまうケースが多いのではないでしょうか。 その一方、完成形を確認して購入できるため、「思っていたのと違った!」「イメージ通りにできなかった」という失敗はありません。 建売住宅は建築会社がまとまった面積の土地を取得して造成した分譲地に、間取りや仕様、デザインを少しずつアレンジした住宅を建てていきます。 昔と違って隣り合う家とまったく同じデザインの建売住宅は見かけなくなりましたが、似通って見えることはあるでしょう。 マイホームには個性を出したい!という方は注文住宅の方が向いています。 メリット ・土地と建物の合計額がわかっているので予算計画を立てやすい ・住宅ローンの手続きが一度ですむ ・分譲住宅だと周囲に同じ時期に売りに出た家が多く環境が整備されていることが多い ・完成した状態を確認して買えるので失敗が少ない デメリット ・間取りや設備仕様、デザインが選べない 変更できてもほんの一部 ・周囲の建売住宅とデザインが似通ったものになりがち ・建築途中の様子が確認できないので施工精度に不安が残る 建築会社が複数棟分の建材を一括仕入れするため、一棟あたりの建築費が抑えられています。 そのため、少しでも安く購入したいという人にも建売住宅は人気です。 まとめ こちらでは注文住宅と建売住宅のメリットとデメリットをご紹介しました。 費用面を重視する人は建売住宅を選び、家にこだわりたい人は注文住宅を選ぶことが多いようです。 予算面では建売住宅が有利だと思われがちですが、注文住宅であっても設備仕様や間取りの工夫で予算を調整することが可能です。 注文住宅の場合は、担当者と何度も打ち合わせを重ねるうちに、家に対する愛着や思い入れが育まれます。 家は一生に一度あるかないかという大きな買い物。 納得して購入できるよう、メリットとデメリットをしっかりと把握して検討しましょう。
2022.12.05
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一戸建ては購入した後にどのくらいの費用がかかる?戸建てとマンションの維持費比較
住居費は教育費、老後資金と並ぶ人生の三大支出に数えられます。 住居費全体を把握するためには、賃貸住宅の家賃、一戸建て住宅、分譲マンションなどの購入費だけでなく、修繕費や固定資産税といった維持費も含めて考えなければなりません。 ここでは一戸建て住宅で忘れられがちな維持費の項目を漏れなく洗い出し、マンションの維持費と比較しました。 一戸建てに必要な維持費の項目 一戸建ての維持費の金額を考える前に、まず把握しておかなければならないのが維持費の項目です。税金や保険、修繕費などが考えられます。 一戸建てに必要な維持費①固定資産税・都市計画税 土地や建物の所有者に対して、毎年国から課税される税金が「固定資産税」です。 たとえそこに住んでいなくても、所有する限り毎年支払い続ける必要があります。 固定資産税の標準税率は、課税標準額(固定資産税評価額)の1.4%です。 土地や建物の評価額は、3年に1度、見直しが行われます。 一括支払いも可能ですが、1期から4期に分けて分割支払いすることも可能です。 納税通知書に納付書が添付されて送られてくるので、希望する支払い回数のものを使用して納めましょう。 都市計画税は固定資産税と異なり、すべての土地や建物にかかる税金ではありません。 市街化区域内に位置する土地や建物に自治体が課す税金です。 固定資産税と同じ納税通知書で支払額が通知されるので、やはり添付の納付書を使って納めましょう。 都市計画税の税率は自治体ごとに条例で定めることが可能ですが、制限税率である0.3%に設定している自治体がほとんどです。 正確な税率を知りたい場合は、各自治体のホームページを検索してみましょう。 ◎住宅用地に対する課税標準の特例 一戸建て住宅の固定資産税と都市計画税には、「住宅用地に対する課税標準の特例」が適用されます。この特例によって税額が大きく変わってくるので、把握しておきましょう。 住宅用地の分類 固定資産税課税標準額 都市計画税課税標準額 住宅用地のうち住宅一戸につき200平米までの部分(小規模住宅用地) 固定資産税評価額×1/6 固定資産税評価額×1/3 住宅用地のうち住宅一戸につき200平米を超える部分(その他の住宅用地) 固定資産税評価額×1/3 固定資産税評価額×2/3 一戸建てに必要な維持費②保険料 住宅ローンを組む際は、基本的に金融機関から火災保険の加入を義務付けられます。 保険会社や加入する保険の種類によって保証内容が大きく異なり、それに応じて毎年(月払いのものもあり)支払う保険料も変わってきます。 自然災害が相次ぐ近年では、風水害への保証が充実した保険も増えてきました。また、基本的に火災保険とセットでのみ加入できる地震保険に加入する人も増えています。 一戸建てに必要な維持費③修繕費 住宅が古くなると徐々に傷みが出てきて、修繕が必要となってきます。 メンテナンスによって修繕費が変わってくるので、定期的に正しいメンテナンスを加えましょう。 10年に1度は外壁材や屋根材を塗装しておくと、住宅の骨格にあたる構造材の劣化が防げるので家が長持ちしやすくなります。 トイレやキッチン、浴室といった水回り設備は築後20年程度を目安に交換することになります。これらも日々のメンテナンスで寿命が変わってくるので、修繕費はメンテナンス次第ともいえるでしょう。 一戸建てに必要な維持費④ほかにもこんな項目が 一戸建て住宅を建てるとご近所付き合いの一環として、自治会に加入するケースが多くなります。 自治会の年会費は数千円から数万円とまちまちです。 それほど大きな金額ではないはずですが、できれば事前にリサーチしておくと安心です。 一戸建ての維持費の目安 ここでは一戸建て住宅の維持費の目安を知るために、一般的な住宅について金額を簡単にシミュレーションしました。 固定資産税と都市計画がどれくらいかかるか、修繕費の積み立てにいくらかけるかによって違ってきますが、概ね年間30~40万円程度かかると考えれば良いでしょう。 各項目の内訳についてもご紹介しています。 【一戸建て住宅の年間維持費シミュレーション】 税金約15万円+火災保険料約2万円+地震保険料約4万円+修繕費積立約17万円 =約38万円 一戸建てに必要な維持費の目安①税金 小規模住宅用地の特例が適用されるので、敷地部分の固定資産税と都市計画は抑えられます。 エリアや建物の仕様、広さなどによって金額が大きく異なりますが、土地と建物を合わせて年間10~20万円程度になることが多いようです。 一戸建てに必要な維持費の目安②保険 例えば東京都内で建物面積100平米の木造住宅について、建物補償額1,500万円、契約年数10年の保険に加入した場合、火災(落雷、破裂、爆発を含む)と風災(ひょう災、雪災を含む)のみの保証だと10年分で10~13万円程度の保険料になります。 さらに水災や盗難などの保証もつけると、10年分の保険料は16~21万円程度です。 近年は日本各地で深刻な風水害が増えているので、風水害も含めた保証を受けられるものを選んだ方が無難です。 相場は10年で20万円と考えておきましょう。 地震保険は火災保険と違い、損害の度合いに対する補償割合が30~50%です。 上記と同じ建物にセットした場合、年間3万5千円から4万円程度になるでしょう。 一戸建てに必要な維持費の目安③修繕費 一件の住宅にかかる修繕費30年分として、仮に10年ごとに2回の外壁塗装を行い、築後20年で水回り設備を取り換えた場合で考えてみましょう。 外壁塗装は足場工事も含めて1回あたり100万円程度かかり、水回り設備をすべて交換するには200万円程度かかります。 フローリング材や壁紙などの内装材も傷んでくるので、取り換えが必要となるでしょう。 予備費も考えると累計で500万円程度の修繕費が発生することがわかります。 年間17万円程度の積立金を用意しておけば、いざという時慌てません。 植栽の管理費やカーポート、門扉などの修繕が必要となるケースもあるので、外構を充実させる場合は維持費についても注意が必要です。 一戸建てとマンションの維持費を比較しよう マンションの場合、一戸建て住宅の維持費に加えて「管理費」「修繕積立金」「駐車場代」がかかってきます。 一概に比較することはできませんが、同じ専有面積の場合はマンションの維持費のほうが高くなることが多いでしょう。 修繕積立金はマンション全体の補修や大規模修繕に備える費用で、戸別の設備や内装工事に関しては当然各自の用意した費用で賄わなければなりません。 金額はマンションによって千差万別ですが、共有設備が充実しているほど管理費が高額になります。 修繕積立金は築後数年で値上がりするケースがとても多いので、余裕をもって支払える金額かをチェックしておきましょう。 土地代が高いエリアでは駐車場代も高額で、さらに機械式駐車場では維持管理の費用が上乗せされます。 一戸建ての維持費の注意点 一戸建て住宅の維持費を抑えるためには、「長い目で見る」という視点がもっとも重要です。 たとえば建材の耐火性能によって火災保険の保険料が安くなるケースもありますし、構造によって地震保険の保険料も違ってきます。 外壁塗装の塗料も、耐久性を高いものがおすすめです。 塗装費用は少し上がりますが、塗装の頻度が下がるので結果的にメンテナンス費用が抑えられます。 ちょっとした不具合の修繕も、早めに行うことが住宅自体を長持ちさせることに繋がります。 まとめ ご紹介したように、一戸建て住宅の維持費は年間で30~40万円程度かかってきます。 しかし工夫次第で、長期的な維持費の支出をぐっと抑えることは可能です。 長い目で見て損をしない選択をするため、自分のケースに当てはめてシミュレーションをしてみましょう。
2022.12.05
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住宅ローンの金利タイプや借り入れ方法・注意点まとめ
理想のマイホームを手に入れるため、住宅ローンを利用する人も多いのではないでしょうか?いざ利用しようとした際に、どの金利タイプや借り入れ方法が自分にあっているのか悩んでしまう人もいるでしょう。住宅ローンの利用にあたって、あらかじめ知っておきたい「金利タイプ」、「借入先」、「借り入れ方法」についての情報をまとめてみました。 住宅ローンの金利タイプにはどんなタイプがあるのか? まずは、住宅ローンの金利タイプについて基本的なパターンをご紹介していきましょう。金利タイプは大きく分けて以下の3つです。 全期間固定タイプ 変動金利タイプ 固定期間選択タイプ ・全期間固定タイプ まず、金利の計算をするのが厄介に感じられるという人におすすめなのが「全期間固定タイプ」です。全期間固定型とは、その名の通り完済にいたるまでの金利がすべての期間でまったく変わらないプランです。さまざまな金融機関から展開されており、住宅ローンのように長期間払い続けることが前提のローンでは特におすすめされています。 最大のメリットは、金利が変わらないため先々の見通しを立てやすいことです。情勢が変わり、とつぜん為替変動が起きた場合にもまったく影響を受けません。しかし、だからこそあらかじめ定められている金利が高めに設定されていることがデメリットとして挙げられます。また、情勢変化にともなって金利の水準が下がった場合にはほかのローンよりも返済額がかさむ可能性があることを理解しておきましょう。 ・変動金利タイプ 「変動金利タイプ」の場合は、おおむね半年ごとに金利を見直しながら利用できます。金利が安いことが最大のメリットであり、全期間固定タイプの金利に驚いたときにはこちらを利用するとよいでしょう。 ただし、景気の影響を受けて金利があがっていったときにはその分支払い合計額も高くなるため、その点はデメリットと言えます。また完済にいたるまで、具体的にどのくらいの額が必要になるのか予想しづらいため返済計画を立てにくいという特徴もあることから、計画的にローンを支払いたい人には向いていないかもしれません。 ・固定期間選択タイプ 「全期間固定タイプ」と「変動金利タイプ」の中間にあたる存在と言えるのが「固定期間選択タイプ」です。このプランでは、あらかじめ定められている期間ごとに固定金利が採用されます。どのくらいの期間か、またその期間の金利などは金融機関によって違うため、事前によく調べておくことをおすすめします。【金利が固定されるタイプ、されないタイプのいいとこどりができる】ことは、大きなメリットと言えるでしょう。全期間固定に比べれば金利が安く、突然の変動があっても大きな影響を受けません。 デメリットは金利の変化によって支払額が高額になる可能性もあることが挙げられます。固定期間内は安定していても、その後のことは分からないため、返済計画も立てやすいとは言いづらい傾向にあります。 ■住宅ローンの借入先の選択肢 続いて、お金の借り入れ先についてもよく検討する必要があります。まず、定番の「公的ローン」と「民間ローン」の違いから解説していきましょう。 ・公的ローンとは? 公的ローンは国が運営している機構や自治体から借り入れるローンのことです。メリットとしては利用条件が豊富なことで、さまざまなシーンにあわせてローンを組むことができます。一方で、国の審査が入るとあってローンが通りにくいという点はデメリットと言えるでしょう。ただし具体的な基準は公表されていませんので、まずはダメもとで申し込んでみるというのもひとつの手です。 ・民間ローンとは? 民間ローンは、銀行や信用金庫のように民間の金融機関から借り入れるローンのことです。メリットは取り扱っている金利タイプが豊富ということ。金融機関によって全期間固定金利タイプや変動金利タイプなど希望のローンをチョイスできます。とにかく金利の低いローンを利用したいというとき、民間ローンは重要な選択肢となるでしょう。しかし、便利な存在だからこそ種類が多いため特徴や違いを知らないと使いづらいことはデメリットです。また、一部保証料が必要なケースもあることから、しっかり下調べをした上で利用しなければいけません。 ・フラット35とは 一見して民間ローンのように見えるものの、提携ローンとして扱われているローンに「フラット35」があります。こちらは住宅金融支援機構が展開しているローンであり審査は比較的厳しくないという特徴があります。また、全期間固定金利ローンであることから返済計画の立てやすさも大きなメリットでしょう。ただし金利が高い傾向にあることは、全期間固定金利ローンの特徴でありデメリットとして覚えておくべきです。 ・財形住宅融資とは 財形住宅融資は勤めている企業の福利厚生などを利用してローンを組む方法です。フリーランスなど企業に所属していない人でも、住宅金融支援機構が展開している財形住宅融資ならば利用できます。メリットとしては民間ローンよりも金利が低いことが挙げられます。子どもがいる家庭ならさらに金利を下げられるなど、条件によっても金利が変動するためとにかくお得に利用したい人にぴったりです。ただしデメリットとして利用条件や借入の上限額が細かく設定されているということも覚えておきましょう。利用するつもりでいても、細かな条件を確認したら自分のケースでは適応されなかった…というケースもあるかもしれません。 ■住宅ローンの借り入れ方法の種類と注意点 住宅ローン契約時には、配偶者と収入の総額を合算することで上限を引き上げることができます。あわせて、次のような方法を覚えておきましょう。 ・ペアローン 一つの住宅を購入するときに、配偶者とそれぞれ個別のローンを利用できるシステムを「ペアローン」と言います。メリットは、別々にローンを組めるため借り入れ上限を増やせるということです。これによって、一つのローンだけでは手が届きにくい家も視野に入ります。また、それぞれが住宅ローン控除の対象となるため税金の節約につながることもメリットと言えるでしょう。 一方で、それぞれに手続きをしなければいけないので手間や諸費用がかさみやすいのはデメリットです。また、本来ローンは病気などの理由で収入がなくなったとき免除されるものですが、ペアローンはどちらかが働けなくなっても払い続ける必要があるというリスクとも隣り合わせています。 ・連帯債務 一つのローンを利用し、支払いを夫婦で分担したいと考えているのなら「連帯債務」を活用しましょう。連帯責務は支払いの負担を分担できるほか、連帯債務でも二人とも控除を受けられるため税金の節約ができるというメリットがあります。 一方で二人とも審査に通らなければならないため、どちらかが審査に落ちてしまえば連帯債務を利用できません。また、配偶者など連帯債務者となる人は団体信用生命保険の適応外になる可能性があるため、契約内容を事前にしっかりチェックしておく必要があります。 ・連帯保証 夫婦で住宅ローンを組む場合、片方が契約者、片方が連帯保証人となるのが「連帯保証」タイプです。連帯保証では、夫婦の収入を合算した金額を参考に審査するため借り入れ額の上限を増やせる可能性があります。どちらかだけの収入で判断される金額よりも高い金額を借り入れられれば、大きなメリットと言えるでしょう。 しかし「ペアローン」や「連帯債務」と違い住宅ローン控除は契約者のみにしか適用されません。連帯保証人は節税ができないほか団体信用生命保険の対象にならないこともデメリットです。 ■まとめ 住宅ローンと聞くだけで難しい、知識がなければ活用できないものとイメージする人もいるかもしれません。しかし、タイプや形式を理解していれば自分に合ったものを見つけられます。金利だけでなく、諸費用や万が一のときの負担リスクについても考えながら検討してくださいね。
2022.12.05
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住宅ローンの繰り上げ返済は損なのか?損をしないための正しいタイミング
長期間にわたる住宅ローンの返済。途中で各家庭を取り巻く状況も変わってくるので、繰り上げ返済をするべきか迷う人も多いのではないでしょうか。実は繰り上げ返済をすると得をするか損をするかはその人次第なので、一概に良いか悪いかはいえません。繰り上げ返済で損をしないためには、どのタイミングで繰り上げ返済に踏み切るべきなのでしょうか?一緒に考えていきましょう。 繰り上げ返済とは? そもそも住宅ローンの繰り上げ返済とは、毎月の返済金額とは別に借入額の一部や全部を返済することを指します。毎月の返済額にはその月返す分の元金に加え、先月の返済日から今月の返済日までの期間に対する利息が含まれていますが、繰り上げ返済には利息が含まれません。繰り上げ返済した金額は丸ごと返済残高から差し引かれるので、繰り上げ返済をすればその部分に上乗せされるはずだった利息がかからなくなります。そのため、手元にある程度の資金が貯まると「よし、繰り上げ返済をしよう」と考える人が少なくありません。 繰り上げ返済の種類(*概要、それぞれどんな人に向いているのか) 繰り上げ返済には、次の2つの種類があります。その人の状況によってどちらが適しているか変わってくるので、まずはそれぞれの特徴を把握しましょう。 返済期間短縮型 返済期間短縮型は、繰り上げ返済後も毎月の返済額が変化しません。繰り上げ返済した金額はすべて、文字通り返済期間を短くするためにあてられます。住宅ローンは返済期間が一般の人で最長35年間と長いため、期間を短縮すると返済総額がぐっと抑えられます。手持ち資金や毎月の収入と支出のバランスに余裕があり、単純に「損をしたくないので返済総額を減らしたい」という方には、こちらがおすすめです。 返済額軽減型 返済額軽減型は、繰り上げ返済後の毎月の返済額を減らす方法です。繰り上げ返済後も、返済期間は変化しません。返済期間が減らないのでその部分に対する利息がそのままかかるため、軽減できる返済総額は返済期間短縮型に比べると小さくなります。しかし毎月の負担が減らせるので、収入に対して毎月の返済額が大きい方や、毎月の返済額が負担に感じている方にはこちらがおすすめです。 返済期間短縮型と返済額軽減型のシミュレーション たとえば、返済期間35年で住宅ローン3000万円を全期間固定利率1.5%で元利均等返済にて借り入れた場合について、残り返済期間30年の時点で200万円の繰り上げ返済を行うとして、それぞれの効果をシミュレーションしてみましょう。 借り入れ条件 当初借入元金 3,000万円(ボーナス返済分なし) 当初借入期間 35年間 返済済み期間 5年間 返済方法 元利均等返済 毎月返済額 9万1,855円 借入金利 1.5%(全期間固定) 繰り上げ返済額 200万円 共通の繰り上げ効果 繰り上げ前元金 2,661万5,451円 繰り上げ後元金 2,455万6,865円 返済期間短縮型の場合 毎月返済額 9万1,855円(変化なし) 残り返済期間 27年3ヵ月 利息負担軽減額 106万8,807円 返済額軽減型の場合 毎月返済額 8万4,937 円 残り返済期間 30年 利息負担軽減額 48万3,382 円 2種類の繰り上げ返済効果を比較してみると、やはり利息負担の軽減効果は返済期間短縮型の方がかなり大きいことがおわかりいただけるはずです。返済期間も丸3年近く変わってくるので、ライフプランの立て方にも影響するのではないでしょうか。 繰り上げ返済を行う上手なタイミング ご紹介したような利息負担軽減効果を大きくするには、できるだけ早い段階で繰り上げ返済に踏み切る必要があります。住宅ローンは返済期間が長いため、どうしても返済当初は利息部分の支払い割合が高くなり、元金がなかなか減りません。少しでも利息負担を減らしたいなら、少しの金額でも良いので早めのタイミングで繰り上げ返済を行いましょう。逆に返済期間終了間近になると、繰り上げ返済をしてもあまり大きな利息負担の軽減効果が期待できません。 住宅ローン控除と住宅ローン繰り上げ返済のタイミングの関係 「利息負担を減らすためには早い段階での繰り上げ返済が大切」とお伝えしましたが、その際に注意していただきたいのが「住宅ローン減税」の適用期間です。住宅ローン減税の適用期間が残っているうちに繰り上げ返済をすると、借入元金が減るため、控除額が減ってしまいます。人によっては所得税額の負担が大きく、控除額が減ることで損をする場合もあるため、事前にシミュレーションをして控除と繰り上げ返済の利息負担軽減効果を比較しなければなりません。 住宅ローン減税制度は、国が住宅を取得する人の負担を軽減するため、所得税から毎年住宅ローンの借入残高に応じて一部を控除する制度です。適用を受けるには対象となる住宅の広さや借入期間などの要件を満たし、申請手続きをします。所得税だけでは住宅ローン減税の控除額が使いきれなかった場合、住民税からも一部控除可能です。そのため、「所得税はそんなにかかっていないから」という人も、繰り上げ返済をした場合としない場合のシミュレーションは必要です。 損をしないための住宅ローンを繰り上げ返済するタイミングとコツ 住宅ローン減税との兼ね合いで損をしないためにおすすめしたい繰り上げ返済のタイミングは、控除期間終了の翌年です。控除期間が終了していれば、借入残高が減ることで控除額が減り、結果的に損をするという心配がありません。その頃には住宅取得に伴う頭金や諸費用の支払いで減った預金を貯め直し、ある程度、手元資金に余裕を持たせることも可能になっているはずです。 「お金がある程度貯まったら、繰り上げ返済しよう」という漠然とした考え方だと、なかなかお金も貯まりませんし、繰り上げ返済しないまま漫然と返済期間が経過してしまいがちです。住宅ローン減税適用期間は、お勤め先の年末調整や確定申告によって所得税や住民税の控除額が毎年手元に返ってきます。年末調整の翌月に給与と一緒に振り込まれたり、税務署からの還付金として指定口座に振り込まれたりすることになります。本来なら所得税として納めるはずだった金額を、負担しなくて良くなるわけです。 できれば毎年その金額を貯めておき、控除が終わった翌年にまとめて繰り上げ返済にあてましょう。そうでない場合も、「いつ頃にいくらくらいの繰り上げ返済をしよう。そのためにいくら貯めよう」など、具体的な目標を定めておくと実現しやすくなります。 繰り上げ返済をする際の注意点 繰り上げ返済をする際、知っておいていただきたい注意点に手持ち資金との兼ね合いがあります。住宅ローンを組む人は、基本的に金融機関から「団体信用生命保険(団信)」への加入を義務付けられます。団信は住宅ローンの借主が返済期間中に亡くなってしまった場合、残りの返済額を免除する保険制度です。残されたご家族の負担をなくすための制度で、住宅ローンにセットでついてくる生命保険の一種と考えれば良いでしょう。団信の保険料は金融機関が負担し、借主には負担がかかりません。 ただし住宅金融支援機構の提供する住宅ローン「フラット35」の場合は、保証料がかからない代わりに団信の保険料がかかります。近年は特定の疾病にかかった場合、以後の返済を免除する拡充タイプの団信も各金融機関から登場しており、保険料をプラスすることで選択可能です。 繰り上げ返済をした直後に万が一、借主が亡くなってしまった場合、繰り上げ返済にあてた金額の預金が家計から減っているため「損をしてしまった」とも考えられます。人の生死は誰にも予測できないので、こればかりは事前にシミュレーションすることができません。 また、いくら利息負担が減っても、手元の資金が減って目の前の生活が苦しくなっては意味がありません。自動車ローンや教育ローンなど、一般的な融資は住宅を担保に入れる住宅ローンに比べると金利が高くなります。住宅ローンの返済額が減っても、「車が急に壊れたから」「国公立大学を目指していたけど、子どもが私立大学に進学することになったから」などという理由で、代わりに別の融資を借り入れていては本末転倒です。 大切なのは、繰り上げ返済後も手元にある程度の資金を残しておくことです。急に資金が必要になっても慌てることのないよう、一定の預金額を確保しておきましょう。 繰り上げ返済手数料の有無も確認を 現在、多くの金融機関がインターネット経由で手続きすることで、金額の指定なくいつでも繰り上げ返済が可能というサービスを提供しています。その一方で、繰り上げ返済のたびに手数料や申し込み手続きが必要な金融機関も少なくありません。同じ金融機関であっても、インターネット経由、窓口もしくは書面申込、電話などの申し込み方法によって、繰り上げ返済手数料が変わってくるケースもあります。 そのため、「手元の資金に余裕ができたらこまめに繰り上げ返済がしたいな」という人は、住宅ローンを選択する前に繰り上げ返済の手数料も確認しておきましょう。大手の金融機関の中でも、繰り上げ返済の手数料は3万円以上するところから無料のところまで実にさまざまです。大手の都市銀行や信託銀行の場合、ネット経由以外の申し込みだと繰り上げ返済手数料がかかるケースが多く、ネット銀行などの金融機関では申し込み方法に関わらず手数料がかからないケースが多いようです。 まとめ ここでは、住宅ローンの繰り上げ返済について概要から損をしないコツ、注意点までをまとめてご紹介しました。特に住宅ローンの返済期間が定年退職後におよぶ人は、老後は思った以上に収入の減少によって支払いが厳しくなるため、早い段階で返済期間短縮型の繰り上げ返済を検討してください。繰り上げ返済を上手に使うことで、住宅ローンの負担を減らしましょう。
2022.12.05
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注文住宅用の土地はどうやって探す?土地の探し方・注意すべき点やその流れとは?
建売住宅と違って土地と建物を別々に購入する注文住宅には、土地探しが欠かせません。 家を建てる土地はその後何十年も暮らす可能性が高い場所なので、家づくりの中でも土地選びはとても大切なプロセスです。 注文住宅の土地探しで失敗しないために、正しい土地の探し方や注意すべきポイント、土地探しの詳しい流れなどをご紹介します。 どの方法が正解?土地の探し方 土地探しには、次のようにいくつかの方法があります。 1.インターネットで検索する 2.不動産情報誌などで調べる 3.不動産会社に相談する 4.ハウスメーカーや工務店に相談する このうちおすすめの方法は、建築を依頼したいハウスメーカーに相談するものです。 土地探しを始めた段階では多くの方が土地情報をインターネットで検索しますが、土地を自分の力だけで探す方法はおすすめできません。 土地情報には表に出ていない「非公開情報」が多く、不動産会社同士やそれらと付き合いのある建築会社でなければ教えてもらえない掘出物の土地情報がたくさんあるためです。 注文住宅を建てるということは建物に対するこだわりがあるということなので、まずは建築を依頼したいハウスメーカーを決めましょう。 そうすれば自分の希望する構造やデザインの家を建てることができます。 ハウスメーカーや工務店の多くは不動産部門を所有していたり、不動産会社と提携していたりします。 プランニングの相談をすれば法令上の規制や広さ、土地の方角なども加味して、自分の希望するプランが収まる土地を紹介してもらえる可能性が高まるでしょう。 用途地域や建ぺい率(敷地全体に対する建築面積の割合)、容積率(敷地全体に対する延べ床面積の割合)などの法規制は、それぞれの土地によって異なります。 敷地面積では希望するプランが問題なく入るとしても、それらの規制によってはプラン通り建てられないかもしれません。 建築会社に相談すれば希望するプランを前提に土地を探してもらえるので、そういった心配がなくなります。 さらに家を建てる前提で相談すれば、好条件の非公開物件も紹介してもらえることも。 建物と合わせた予算の総額も伝えておけば、無理のない範囲で家が建てられる土地を紹介してもらえます。 希望するエリアが人気でなかなか土地が売りに出ない場合、「古屋付き土地」も選択肢に入ってきます。 「解体工事費用が上乗せされても構わないからどうしてもそのエリアに建てたい!」という場合は、その旨も担当者に伝えておきましょう。 解体工事を前提に、価格交渉が可能な物件もあります。 土地探しで注意すべきポイント ①予算の上限を決めておく 土地探しでは、予算について上限を決めておくことが大切です。 不動産会社に個別に相談すると、建物が入るかどうかの判断が難しいうえに、予算をオーバーした土地を紹介されることもあります。 不動産会社から土地紹介を受ける場合、購入するかどうかの判断では依頼予定の建築会社から意見を聞いておいた方が安心です。 土地ばかりに予算を取られ、希望するプランで家が建てられなくなる人は多いので、常に予算の上限は意識しておきましょう。 ②家族の希望をまとめる 建築会社に相談して土地探しをしてもらう場合、「希望する間取りなどの建築プランがきれいに収まるか」という視点が最優先になります。 そのため、周辺環境や利便性といったエリア情報は、インターネットや口コミを活用して自分でもしっかりと調べておきましょう。 ちょっとした距離の違いで子どもの学区が変わってくることも多く、注意が必要です。 「子どもが生まれて間もないから実家の近くで助けを借りたい」「ちょっとくらい不便でも、静かで広い場所に家族でのんびりと暮らしたい」「予算に余裕がないから、とにかく安く手に入れたい」など、土地に求める条件は人それぞれではないでしょうか。 何もかも妥協せず土地を探すとなかなか見つかりませんし、たとえ見つかっても高くて手が出ないかもしれません。 そのため、土地探しではまず家族が希望する条件を書き出しましょう。 土地に求める条件には、次のようなものがあります。このリスト以外に重視するポイントがある場合は、それらを付け加えましょう。 ・通勤や通学の距離 ・子どもの学区 ・自治体の子育て支援政策 ・ご近所の雰囲気 ・広さ ・方角 ・同じ時期に家を建てる人が多いかどうか ・実家との距離 ・コンビニやスーパー、駅、病院などの利便施設までの距離 ・静かさ ・見晴らし さらに話し合いでそれらの条件に優先順位をつけ、絶対に譲れない条件の範囲も決めておきます。 「通勤時間が1時間以内」「●●小学校区内」は絶対条件で、「実家との距離30分以内」は妥協可能などです。 そうすれば土地を紹介されたときに判断しやすくなり、納得して購入できるので自分たちの満足度も高まります。 土地のチェックポイント 具体的な土地を提案されたとき、購入するかどうかの判断には希望条件の優先順位表に加え、次のチェックリストを使いましょう。 時間帯を変えて何度か現地を訪問することで、土地の雰囲気をつかみやすくなります。 □ 希望するプランの家が建つかどうか(建築会社に判断を依頼) □ 朝、昼、夜それぞれの周辺環境(騒音や車通り、夜道の明るさ、治安など) □ 周辺の建物(騒音や環境悪化につながる建物はないか) □ 日当たり □ 風通し □ 隣が空き地の場合、建築予定の有無と内容 □ 接道状況 □ 土地の形状(長方形でない不定形地だとプランニングが難しくなるが、単価が下がる) □ 周辺との高低差の有無 □ ご近所の雰囲気(住む人の世代など) □ 電柱やゴミ置き場などの位置 まとめ 注文住宅を建てるための土地探しでは、まず依頼予定の建築会社に土地について相談してみましょう。 建築依頼先が小規模な工務店や建築事務所で土地の紹介が受けられず、不動産会社に相談する場合でも、購入する前には必ず希望するプランが入るかどうかを担当者にチェックしてもらってください。法規制や総予算を加味して判断してもらえるので安心です。 購入するかどうかの判断では、土地に対する予算の上限を決めておくことが大切です。 希望条件に優先順位をつけておけば、あまり判断に迷いません。土地選びを成功させ、暮らしやすい家を手に入れましょう。
2022.12.05
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住む前に気づきたい注文住宅の後悔・失敗ポイント。後悔しない家造りのポイント!
細部までこだわることができる注文住宅は、間取りから設備の配置まで事細かに指定できるため理想の住まいを実現できます。しかしいざ生活をはじめてみると「こだわって決めた部分がかえって不便で生活しづらい!」と感じてしまうこともあるため、注意が必要です。 失敗しないためにも、これからご紹介するエリア別の後悔・失敗ポイントを参考にしましょう! リビングの後悔・失敗ポイント リビングの後悔・失敗ポイント①収納について まず外せないのが、どんな住宅、どんな空間にも必須の「収納」です。中でも多くの時間を過ごすリビングは、収納の数やサイズを間違えるとモノが入りきらず、結局ごちゃついた印象の空間になってしまいます。また、収納の数が十分であっても団らんを過ごすスペースと収納スペースのあいだに距離がありすぎることで、使いづらいと感じてしまうおそれがあります。結局手近に棚を備え付けるなど本末転倒にもなりかねないので、生活スペースとの距離や使い勝手をよく検討した上でどこにどれだけの収納を作るか決定しましょう。 リビングの後悔・失敗ポイント②家事動線について リビングは、ほかのスペースと廊下で区切ってしまうことで家事や生活動線が途切れやすくなってしまうので注意しましょう。リビングを中心にキッチン、お風呂場、ベランダやバルコニーと色んなスペースを近接させることで、行き来がしやすくその分家事もしやすい空間を作りやすくなります。お子さんがいるご家庭でも、リビングで遊んでいるお子さんの様子を見ながら別の場所で家事ができるようになり、安心感も増しますよ。 リビングの後悔・失敗ポイント③ドアについて 多くの時間を過ごすリビングは玄関近くに配置することが一般的ですが、だからこそドアの位置を間違えると玄関からリビングの中が丸見えになってしまうおそれがあります。突然の来客があったとき、散らかった部屋がずっと見えたままだった……ということを避けるためには、ドアの配置と開き方を工夫し、玄関や廊下から目隠しになるようにしましょう。 リビングの後悔・失敗ポイント④天井について 開放感のある高い天井に憧れがある人も多いと思いますが、おしゃれな一方で空気の循環効率が悪くなるというデメリットもあります。天井が高いとエアコンの利きも悪くなってしまうので、循環をうながすためのシーリングファンをつけるなどの工夫が必要です。音も響きやすくなることから、防音性についてもよく検討しなければいけません。 キッチンの後悔・失敗ポイント キッチンの後悔・失敗ポイント①収納について ごちゃつきやすいキッチンは収納をたくさん作りたいと思ってしまうものですが、むやみに作ることはおすすめできません。特に、高い位置にある収納は使いづらいというデメリットとも隣り合わせているので、重いものが持ち上げられず結局使わなくなってしまうこともあるでしょう。同様に床下収納もキッチンの定番ですが、せっかく作ったのに結局使わなかったというケースは少なくありません。 具体的になにを収納する予定なのか、よく考えてみましょう。 キッチンの後悔・失敗ポイント②家事動線について キッチンの動線は、調理中の作業効率とも密接にかかわっています。配置を間違えると料理を作りづらくなってしまうため、あらかじめどんな家具や家電を持っていて、どのように配置するのか考え、その上でシンクや収納の位置、サイズを決めていきましょう。冷蔵庫や電子レンジなどは「どちら向きにドアがついていて、どうやってものを取り出すか」と具体的にイメージしながら、使いやすい配置を考えることが大切です。 キッチンの後悔・失敗ポイント③床や壁について キッチンの床や壁は、水や油ハネなどの汚れが目立ってしまわないような素材や色を選びましょう。おしゃれな白壁も、きれいな状態をキープするにはこまめな掃除がかかせませんので「どちらかと言えばずぼらなタイプ」という人には向いていないかもしれません。また、汚れてもすぐ落とせるよう床や壁の表面には撥水加工をするのもおすすめです。 トイレ、お風呂の後悔・失敗ポイント トイレ、お風呂の後悔・失敗ポイント①家事動線について お風呂場、トイレ、洗濯機といった水を使うスペースは、なるべく近い位置に配置しましょう。 それぞれが離れた場所にあると、例えばお風呂の残り湯で掃除をするときなどに移動距離が気になり使いにくく感じてしまいます。災害時、節水をする上でも大事なポイントとなるため、間取りを決めるときにはよく検討すべきです。 トイレ、お風呂の後悔・失敗ポイント②スペースの使い方について 子どもや祖父母がいるご家庭では、お風呂やトイレがあまりに広すぎるとかえって使いづらいと感じてしまう可能性があります。トイレの場合、座ったままではトイレットペーパーに手が届かない……ということになりかねません。お風呂の場合には、シャワーに手が届かず無理な体勢になることで転倒などのリスクにもつながってしまいます。広い空間を生かしながらも、トイレットペーパーやシャワー、収納スペースはなるべく近づけましょう。 設備の失敗ポイント 設備の失敗ポイント①電気スイッチについて 部屋や廊下の電気スイッチは、子どもでも手が届きやすい場所、分かりやすい場所に配置しましょう。 なるべくドアの真横など分かりやすい場所しないと、家に帰ってきたとき真っ暗な部屋でスイッチを探してうろうろ……なんてことにもなりかねません。玄関など一部には、スイッチタイプではなくセンサー感知によって自動でオンになる電気を採用するのもおすすめです。 設備の失敗ポイント②コンセントについて コンセントの数や配置を間違えると、実用性に欠けた家になってしまいます。 あとから延長コードを置くということもできますが、やはり見栄えはよくありませんので「どこにどんなものを置くのか」をあらかじめ考えた上で、コンセントの位置を決定しましょう。リビングなどの広い部屋は、掃除機をかけるときのことを考えて、部屋のすみだけでなく中央になる場所にもコンセントを用意しておくといいでしょう。 設備の失敗ポイント③照明について おしゃれな間接照明やLED照明は家の雰囲気を大きく変えてくれる存在だからこそ、どこにどのくらいの間隔で配置するか十分検討しましょう。配置によって、部屋全体が暗くなってしまう可能性があります。寝室と子供部屋でタイプを変えるなど、用途に合わせた照明選びも大切です。 まとめ 毎日多くの時間を過ごす大切な我が家だからこそ、ちょっとした不便やストレスはなるべく解消しておきたいものです。住みやすい家の条件は家庭によってまったく違うので、自分たちの場合はなにを優先したいと思うのか、具体的によく考えながら理想の住まいを完成させましょう。
2022.12.05
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注文住宅は土地と施工会社のどちらから決める?失敗しない家づくり!
土地と建物がセットで販売されている建売住宅と違って、土地と建物を別々に購入する注文住宅。 土地探しと施工会社選びを同時に進める人が多いのではないでしょうか。 ただ、注文住宅で失敗しないためにはこれらを決める順番が大切です。 ここでは土地探しと施工会社選びのどちらを先にするべきか、理由を交えてご紹介します。 事前の土地探しはOK?決めるのは施工会社を決めたあとで! 「注文住宅=土地を前提にプランを検討するもの」というイメージがあるのか、施工会社を決める前に土地探しを始めてしまう人はとても多くいらっしゃいます。 なかには土地だけの売買契約を済ませた段階で、初めて建築会社に具体的なプランの相談をする人もいるほどです。 注文住宅を建てる前に、土地探しを自分で進めておくのは構いません。 しかし、土地を決定して購入するのは、必ず施工会社を決めた後にすることがおすすめです。 土地を先に購入してしまうと資金計画や施工プランとの折り合いがつかず、希望の家が建たなくなる可能性があるためです。 先に土地を決めてしまった場合の影響①資金計画 土地を決める前には必ず建築会社に相談し、希望するプランにどの程度費用がかかるのかを把握しておくことが失敗を防ぐコツです。 土地を先に探す場合、ネット検索や口コミによる情報をもとにエリアを自分である程度絞ったら、不動産会社に土地の紹介や売買契約の仲介を依頼することになります。 単純にいくつもの土地を比較していると、地価の高い人気エリアが魅力的に見えてくることもあるでしょう。 そのため、土地だけを先に探すと予算をオーバーした高い土地を買ってしまいがちです。 建物にこだわりがあるからこそ注文住宅を選んでいるはずなのに、土地代が予算をオーバーしてしまうと、建物の予算が圧迫されて希望する間取りや設備の家が建てられなくなることも。 住宅資金そのものが予算をオーバーし、せっかく新築の一戸建てを手に入れたのに余裕がない生活を強いられるケースもあるので注意が必要です。 先に土地を決めてしまった場合の影響②希望のプランにできない可能性も 資金計画上問題のない土地であっても、油断は禁物です。 土地の状況によっては、希望するプランが入らなかったり、法令上建てられなかったりするケースもあるためです。 建築会社を先に選んでおけば、その土地に希望するプランが入るかどうかをプロの目線で事前にしっかりチェックしてもらえます。 建築会社の多くは土地も紹介してくれる! 建物にこだわる注文住宅を建てるなら、まず希望の工法やデザインで家を建ててくれる建築会社を選ぶことが大切。 それらの建築会社の多くは不動産部門を所有していたり、不動産会社と提携していたりするので土地探しに関しても相談できます。 多くの方が土地探しを始めた段階でインターネットを活用すると思いますが、建築会社と提携する不動産会社は、ホームページ上で公開していない土地情報を持っていることが多くあります。 なかなか売りに出ない人気エリアの土地情報などは、有利に売買できる可能性が高いため不動産会社もあまり表に出したがりません。 付き合いのある建築会社に優先して情報を公開するケースや、売主が販売中であることを表に出したがらないケースもあり、建築会社に相談するだけで思わぬ掘出物と出会える可能性がぐっと高まります。 まずは希望する土地の条件を担当者に伝え、探してもらいましょう。 建築会社なら事前に希望する建物のプランについて相談するので、それらが入らないような土地をすすめてくることはありません。 予算も建物との総額を考え、無理のない範囲で提案してくれます。 建築会社に相談すれば建築条件付きの土地も選択肢に 希望する建築会社が自社の分譲地を所有していた場合、仲介手数料なしで土地を購入できる可能性があるのでお得です。 紹介された土地が建築条件付き(一定期間内に指定の建築会社に建築を依頼する条件で販売される土地)であっても、納得して選んだ建築会社での工事が条件なら不利になりません。 しかも建築条件付きの土地は、いわば「強気の販売」。 それを可能とするほど立地や周辺環境に恵まれていることが多いので、購入を検討する余地は十分にあるといえます。 さらに一定の規模を持つ分譲地だと、周囲に同じ時期に家を建てる同世代の家族が多いことも魅力だといえるでしょう。 もちろん土地の情報収集も忘れずに ここまででご紹介したように、より満足度の高い家を建てるには建築会社を先に決めることが大切です。 ただしエリア選びによっては暮らしにくい家になってしまう可能性もあります。 建築会社から紹介された土地だからといって無条件に購入するのではなく、売買契約前の情報収集は忘れずに行っておきましょう。 暮らしやすさの基準として、次のようなものが考えられます。 ・通学距離や通勤距離 ・子どもの学区 ・スーパーやコンビニ、病院、駅などへの距離 ・騒音の有無 ・ご近所の雰囲気(同世代の家族の有無など) ・双方の実家との距離感 建築会社に紹介された予算や建築プランに合う土地であっても、これらの点については決める前にチェックしましょう。 ただし希望条件をすべて満たす土地は、地価が高かったりなかなか見つからなかったりします。 そのため事前に希望条件に優先順位をつけておき、紹介を受けた土地の購入判断することをお勧めします。 まとめ 注文住宅を建てる方は、多かれ少なかれ建物に対するこだわりを持っているはずですよね。 それなのに土地の選び方によっては、予算や敷地条件の関係でこだわりが実現できなくなることもあります。 自分が理想とする家を建てたいなら、土地よりも先に建築会社を決めましょう。ほとんどの建築会社は、付き合いのある不動産会社を介して土地の紹介もしてくれます。 しっかりと希望する条件を伝えて土地探しを依頼しておけば、不動産会社の情報網によって、掘出物の好条件な土地と出会える可能性も高まるはず。満足度の高い家づくりにつながる土地探しには、まず建築会社を決めることが大切です。
2022.12.05
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賃貸と持ち家はどちらを選ぶべき?コストやメリットからの比較
賃貸を選ぶべきか、持ち家を選ぶべきか。住む場所を決めるうえで永遠のテーマともいえるこの問題で悩む人は少なくありません。 賃貸と持ち家のどちらがよいかは、どのような視点で見るかによって決まってきます。 それぞれのメリットとデメリットや生涯コストを比較することで、自分に合った家選びの参考にしましょう。 持ち家と賃貸のメリット比較 【持ち家】 ・基本的に賃貸向けのものと比べ、設備仕様の質が高い ・暮らしに合わせて建てたり、リフォームしたりできる ・家主に万が一のことがあったら、団体信用生命保険で返済が免除される ・住宅ローンの完済後は維持費がぐっと安くなる ・老後も住み続けられる ・資産形成になる ・マイホームを持てたという満足感 【賃貸】 ・契約期間が短いので気軽に引っ越せる ・住宅設備機器や建物は大家さんに修繕してもらえる ・固定資産税がかからない 賃貸住宅は住宅ローンに縛られないので、気軽に引越しが可能です。 建物や設備が古くなったら大家さんに修理してもらうこともできますし、より新しい賃貸住宅に引っ越しても良いでしょう。 ご近所との折り合いが悪くても、いつでも引っ越せるのであまり大きな負担になりません。 急な転勤や転職にも対応しやすいですし、不景気で年収がダウンしてもより家賃が安い物件への引っ越しという選択肢があります。 一方で持ち家は、基本的に賃貸住宅より設備仕様のグレードが高く設定されています。 注文住宅なら自分たちの暮らしや家族構成に合わせたプランニングが可能ですし、たとえ建売住宅でも自分が所有する物件ならリフォームしてニーズに合わせることができます。 物件に対する自由度が高いという点が大きなメリットといえるでしょう。 住宅ローンを組む場合は基本的に団体信用生命保険(団信:借主が万が一、亡くなった場合、残りの返済を免除する制度)を組むため、持ち家は家族の生活を保障するという役割も果たしてくれます。 また、意外に大きなメリットといえるのが「自分の城を手に入れたという満足感」「帰る場所があるという安心感」です。 賃貸住宅は何年家賃を支払い続けても、自分のものにはなりません。 金額には換算できませんが、この点を重視して持ち家を選択する人も多くいます。 持ち家と賃貸のデメリット比較 【持ち家】 ・賃貸・購入時に大きな支出が必要 ・住宅ローン返済中は気軽に引っ越せない ・建物や設備機器などの修繕は自分でしなければならない ・固定資産税などの維持費 【賃貸】 ・設備機器や建材の質が低い ・家賃を一生払い続けなければならず、収入が減る老後資金の負担が大きくなる ・高齢になると借りにくくなる ・リフォームはもちろん、壁に穴をあけることもできない 賃貸住宅は住んでいる期間中ずっと、家賃を支払い続けなければなりません。 高齢になって収入が減っても、その状況は続きます。 年金生活に入ってから生活レベルを落とそうとすると、高齢者だという理由で新たな賃貸契約を断られるケースもあるので、早めに計画して動く必要があります。 自分が所有する物件ではないので、古くなってきた場所のリフォームなども自由に行えません。 持ち家の最大のデメリットは住宅ローンです。 返済期間中は売却にも賃貸に出すにも複雑な手続きが必要となるので、気軽に引っ越せなくなります。 購入後は固定資産税や都市計画税、建物や設備機器の修繕費などの維持費もかかってきます。 住宅ローンの返済に加え、早い段階からの修繕費の積み立てなど計画的な費用の準備が求められます。 持ち家と賃貸で生涯コストを比較 満足感や安心感、自由度などを抜きにして、金額のみで賃貸と持ち家を比較した場合、どちらがお得になるのでしょうか? たとえば3,000万円(建物2,000万円、土地1,000万円)の物件を全期間固定金利1.3%のフルローン、ボーナス返済無し、元利均等返済で購入した場合で考えてみましょう。 50年でかかる費用の合計は、概ね次のようになります。 物件価格 3,000万円 ローン利息 約736万円 住宅ローン減税 -400万円 諸費用(物件価格の10%と仮定) 300万円 修繕費(一般的に累計500~600万円、ケースにより大きく変動) 600万円 室内リフォーム費用 200万円 固定資産税(年10万円と仮定、エリアにより大きく変動) 500万円 合計 4,936万円 一方賃貸の場合、山形市内で3LDK、専有面積100平米前後の戸建住宅を借りたと仮定しましょう。 毎月の家賃は13万円程度になります。 25年後に子どもが独立し、家賃8万円の2LDKに住み替えることとした場合、50年間の費用の累計は以下の通りです。 家賃 13万円×12ヵ月×25年+8万円×12ヵ月×25年 3,900万円+2,400万円 更新料(2年に1回、家賃一ヵ月分) 13万円×12回+8万円×12回 156万円+96万円 合計 6,552万円 ここでは2019年12月時点での山形市内の住宅価格相場をもとに、50年分の費用を単純に比較してみました。 この数値では、賃貸よりも持ち家の方がかなり住居費の総額が安くなることがわかります。 もちろん購入する物件や借りる物件、住む人の寿命などたくさんの条件によって結果は違ってくるので、一概にこの結果になるとはいえません。 大きく費用が分かれてくるポイントは、住宅ローン完済後の期間です。 正しいメンテナンスで住宅の寿命を延ばし、長く使える状態を維持することでより持ち家のコスト負担が抑えられます。 「安定収入を得やすい業種の自営業者である」「配当金が継続して入ってくる」など、老後も継続して家賃を払い続けられる資金的余裕がない人は、持ち家を選択した方が安心なのではないでしょうか。 資産形成としての持ち家 持ち家には住居としてだけでなく、資産としての側面もあります。 住宅ローンの返済が終わった物件は自分の所有物なので、売却することも賃貸に出すことも可能なためです。 持ち家を売却したお金で老人ホームの入居一時金など、まとまった費用を賄う人も少なくありません。 貯金で一定以上の金額を確保するには、意思の力も必要になります。 途中で気が抜けてしまって、なかなか貯められなくなる人も多いのではないでしょうか。 しかし住宅ローンの返済なら、ほとんどの人が無条件で続けられるはずです。 地価が今後値下がりするリスクは考えられますが、土地の資産価値がゼロになることはありません。賃貸物件にはない、持ち家ならではの大きなメリットといえるでしょう。 まとめ 賃貸と持ち家のメリットやデメリット、費用の面から比較しました。 急な転勤や実家との同居の可能性が高い人は別ですが、安心感や老後を見据えた資金計画で考えると、持ち家に軍配が上がるのではないでしょうか。 賃貸にはない「資産価値」という面も、持ち家ならではの大切なメリットです。 安心して暮らせる家を選ぶために、ぜひ持ち家の購入も検討してみましょう。
2022.12.05
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