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賃貸と持ち家はどちらを選ぶべき?コストやメリットからの比較

ハウジングコラム

2022.12.05

 

賃貸を選ぶべきか、持ち家を選ぶべきか。住む場所を決めるうえで永遠のテーマともいえるこの問題で悩む人は少なくありません。 賃貸と持ち家のどちらがよいかは、どのような視点で見るかによって決まってきます。 それぞれのメリットとデメリットや生涯コストを比較することで、自分に合った家選びの参考にしましょう。

 

持ち家と賃貸のメリット比較

 

【持ち家】

・基本的に賃貸向けのものと比べ、設備仕様の質が高い

・暮らしに合わせて建てたり、リフォームしたりできる

・家主に万が一のことがあったら、団体信用生命保険で返済が免除される

・住宅ローンの完済後は維持費がぐっと安くなる

・老後も住み続けられる

・資産形成になる

・マイホームを持てたという満足感

 

【賃貸】

・契約期間が短いので気軽に引っ越せる

・住宅設備機器や建物は大家さんに修繕してもらえる

・固定資産税がかからない

 

賃貸住宅は住宅ローンに縛られないので、気軽に引越しが可能です。 建物や設備が古くなったら大家さんに修理してもらうこともできますし、より新しい賃貸住宅に引っ越しても良いでしょう。 ご近所との折り合いが悪くても、いつでも引っ越せるのであまり大きな負担になりません。 急な転勤や転職にも対応しやすいですし、不景気で年収がダウンしてもより家賃が安い物件への引っ越しという選択肢があります。 一方で持ち家は、基本的に賃貸住宅より設備仕様のグレードが高く設定されています。 注文住宅なら自分たちの暮らしや家族構成に合わせたプランニングが可能ですし、たとえ建売住宅でも自分が所有する物件ならリフォームしてニーズに合わせることができます。 物件に対する自由度が高いという点が大きなメリットといえるでしょう。 住宅ローンを組む場合は基本的に団体信用生命保険(団信:借主が万が一、亡くなった場合、残りの返済を免除する制度)を組むため、持ち家は家族の生活を保障するという役割も果たしてくれます。 また、意外に大きなメリットといえるのが「自分の城を手に入れたという満足感」「帰る場所があるという安心感」です。 賃貸住宅は何年家賃を支払い続けても、自分のものにはなりません。 金額には換算できませんが、この点を重視して持ち家を選択する人も多くいます。

 

持ち家と賃貸のデメリット比較

 

【持ち家】

・賃貸・購入時に大きな支出が必要

・住宅ローン返済中は気軽に引っ越せない

・建物や設備機器などの修繕は自分でしなければならない

・固定資産税などの維持費

 

【賃貸】

・設備機器や建材の質が低い

・家賃を一生払い続けなければならず、収入が減る老後資金の負担が大きくなる

・高齢になると借りにくくなる

・リフォームはもちろん、壁に穴をあけることもできない

 

賃貸住宅は住んでいる期間中ずっと、家賃を支払い続けなければなりません。 高齢になって収入が減っても、その状況は続きます。 年金生活に入ってから生活レベルを落とそうとすると、高齢者だという理由で新たな賃貸契約を断られるケースもあるので、早めに計画して動く必要があります。 自分が所有する物件ではないので、古くなってきた場所のリフォームなども自由に行えません。 持ち家の最大のデメリットは住宅ローンです。 返済期間中は売却にも賃貸に出すにも複雑な手続きが必要となるので、気軽に引っ越せなくなります。 購入後は固定資産税や都市計画税、建物や設備機器の修繕費などの維持費もかかってきます。 住宅ローンの返済に加え、早い段階からの修繕費の積み立てなど計画的な費用の準備が求められます。

 

持ち家と賃貸で生涯コストを比較

 

満足感や安心感、自由度などを抜きにして、金額のみで賃貸と持ち家を比較した場合、どちらがお得になるのでしょうか? たとえば3,000万円(建物2,000万円、土地1,000万円)の物件を全期間固定金利1.3%のフルローン、ボーナス返済無し、元利均等返済で購入した場合で考えてみましょう。 50年でかかる費用の合計は、概ね次のようになります。

 

物件価格    3,000万円
ローン利息    約736万円
住宅ローン減税    -400万円
諸費用(物件価格の10%と仮定)    300万円
修繕費(一般的に累計500~600万円、ケースにより大きく変動)    600万円
室内リフォーム費用    200万円
固定資産税(年10万円と仮定、エリアにより大きく変動)    500万円
合計    4,936万円

 

 

一方賃貸の場合、山形市内で3LDK、専有面積100平米前後の戸建住宅を借りたと仮定しましょう。 毎月の家賃は13万円程度になります。 25年後に子どもが独立し、家賃8万円の2LDKに住み替えることとした場合、50年間の費用の累計は以下の通りです。

 

家賃  13万円×12ヵ月×25年+8万円×12ヵ月×25年     3,900万円+2,400万円
更新料(2年に1回、家賃一ヵ月分) 13万円×12回+8万円×12回     156万円+96万円
合計     6,552万円

 

 

ここでは2019年12月時点での山形市内の住宅価格相場をもとに、50年分の費用を単純に比較してみました。 この数値では、賃貸よりも持ち家の方がかなり住居費の総額が安くなることがわかります。 もちろん購入する物件や借りる物件、住む人の寿命などたくさんの条件によって結果は違ってくるので、一概にこの結果になるとはいえません。 大きく費用が分かれてくるポイントは、住宅ローン完済後の期間です。 正しいメンテナンスで住宅の寿命を延ばし、長く使える状態を維持することでより持ち家のコスト負担が抑えられます。 「安定収入を得やすい業種の自営業者である」「配当金が継続して入ってくる」など、老後も継続して家賃を払い続けられる資金的余裕がない人は、持ち家を選択した方が安心なのではないでしょうか。

 

資産形成としての持ち家

 

持ち家には住居としてだけでなく、資産としての側面もあります。 住宅ローンの返済が終わった物件は自分の所有物なので、売却することも賃貸に出すことも可能なためです。 持ち家を売却したお金で老人ホームの入居一時金など、まとまった費用を賄う人も少なくありません。 貯金で一定以上の金額を確保するには、意思の力も必要になります。 途中で気が抜けてしまって、なかなか貯められなくなる人も多いのではないでしょうか。 しかし住宅ローンの返済なら、ほとんどの人が無条件で続けられるはずです。 地価が今後値下がりするリスクは考えられますが、土地の資産価値がゼロになることはありません。賃貸物件にはない、持ち家ならではの大きなメリットといえるでしょう。

 

まとめ

 

賃貸と持ち家のメリットやデメリット、費用の面から比較しました。 急な転勤や実家との同居の可能性が高い人は別ですが、安心感や老後を見据えた資金計画で考えると、持ち家に軍配が上がるのではないでしょうか。 賃貸にはない「資産価値」という面も、持ち家ならではの大切なメリットです。 安心して暮らせる家を選ぶために、ぜひ持ち家の購入も検討してみましょう。